築80年にも及ぶ、このホテルニューカマクラは戦前「山縣ホテル」という名で鎌倉でも有数のホテルとして営業されていました。大正十二年、当時文壇の花形であった芥川龍之介と、すでに歌人としての地位を得ていた岡本かの子が運命的な出会いを果たしたというのもこの場所なのだそうで、実はとても格調高いホテルだったのですね。
現在はフャッション誌やCMの撮影にも使われる希少で穴場的な存在。派手なサービスや宣伝をすることもなく、ただひたすらおっとりと永い年月を刻んできたこの素泊りホテルが、ひそかに多くの旅人の癒しの場、あるいはとまり木として共感を得ているのは、その魅力にはまってしまったファンたちの口コミによるものだとか。 |